【12月15日 AFP】最強の原子力砕氷船と称され、北極圏(Arctic)の商業活用を図るロシア政府の意欲の象徴とされている巨大原子力砕氷船「アルクチカ(Arktika)」が14日、2日間の試験航行を終え、サンクトペテルブルク(St. Petersburg)に戻った。

 アルクチカは2016年に進水し、長さは173メートル、高さは15メートル。北極圏からの液化天然ガス(LNG)輸送に利用されることになっている。建造会社によると厚さ2.8メートルの氷を割りながら航行する能力がある。今回の初航行では動力源にディーゼル(軽油)が使用された。

 アルクチカが一角を占めるロシアの原子力砕氷船団は、国営企業アトムフロート(Atomflot)が管轄。太平洋や大西洋に通じるロシア北極圏沿岸の海上貨物輸送量を、年間を通じて大幅に増やすことを目標としている。

 北極圏には大量の石油や天然ガスが眠っており、ロシアのほかにも米国、カナダ、ノルウェーが開発を図っている。原子力砕氷船団により、ロシアの東南アジア向け石油ガス輸送も容易になる見込みだ。

 アルクチカの最終試験航行は来年3月と4月、就航は5月に予定されている。同型の原子力砕氷船である「ウラル(Ural)」と「シビーリ(Sibir)」の2隻は現在建造中。

 北極圏の経済開発は、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の重要目標の一つと位置付けられている。(c)AFP