【12月14日 AFP】インドで13日、反イスラム的として批判されている市民権に関する新法に対する抗議デモが各地に拡大した。数日にわたるデモの中心地となっていた北東部アッサム(Assam)州グワハティ(Guwahati)では12日、デモ参加者2人が警察の発砲を受けて死亡した。

 テレビで公開された写真によると、首都ニューデリーでは警棒や催涙弾を使用した警察が多数の学生らと衝突し、北部アムリツァル(Amritsar)ではイスラム教徒のデモ参加者らがプラカードに火を付けた。デモは東部コルカタ(Kolkata)や南部ケララ(Kerala)州のほか、ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相の出身地である西部グジャラート(Gujarat)州でも行われた。

 グワハティでは、12日夜のデモの際に警察の発砲を受けて負傷し、病院に搬送された26人のうち、2人が死亡したことを医療関係者が確認した。このデモにより、15日から同地で予定されていたモディ氏と安倍晋三(Shinzo Abe)首相の会談は延期された。

 13日の時点で4人が重体となっている中、スイス・ジュネーブの国連(UN)人権高等弁務官事務所(OHCHR)はインドに対し、「平和的な集会を行う権利を尊重し、抗議活動に対して武力行使する際の国際的な規範や基準に従う」よう求めた。

 今週議会で可決した「市民権改正法案(CAB)」は、パキスタン、アフガニスタン、バングラデシュの3国から入国した少数派宗教信者の市民権取得手続きを迅速化するものだが、イスラム教徒は対象外となっている。

 イスラム系団体や野党、権利団体らは、ヒンズー至上主義を掲げるモディ首相が同法を通じ、インド国内に2億人いるイスラム教徒を疎外しようとしていると主張。モディ首相はこれを否定し、同3か国出身のイスラム教徒はインドによる保護が必要ないため法案の対象外としていると説明している。

 一方、北東部の住民の多くは、同法によってバングラデシュから入国したヒンズー系移民が市民権を得て仕事に就き、同地域の文化的なアイデンティティーを弱める恐れがあるとして反発している。(c)AFP/Anup Sharma and Jalees Andrabi