【12月14日 AFP】英下院総選挙でボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相率いる与党・保守党が大勝し、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)がほぼ確実となったことを受け、欧州各国の首脳らは13日、英国が手ごわい競争相手となる恐れがあると警告した。

 だが、EU加盟各国の首脳は一方で、英国の有権者が明確な意思を示し、3年以上にわたって欧州を悩ませてきた危機の第1段階が終了することに安堵(あんど)も示した。

 EUはこの日、ベルギーの首都ブリュッセルで首脳会議を開催。仏独をはじめとする加盟各国は、2020年末に迫る期限を前に、迅速な貿易協定の締結を目指すと表明した一方で、新協定は欧州の価値観や規範に従うものでなければならないと強調した。

 ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相はEU離脱後の英国について、「玄関先の競争相手」となると警告。エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は英国が「公正さに欠ける競争相手」となる恐れがあると述べた。

 マクロン氏の発言は、英国が「テムズ川(Thames River)のシンガポール」のような貿易拠点となり、多国籍企業がEUの規則に従わずとも、その巨大市場への参入が可能になるという懸念を反映したもの。

 EUはこのほか、ジョンソン氏が貿易協定の締結を非常に急いでいることや、英国の行動によって残るEU加盟27か国の結束が弱まる可能性についても懸念を抱いている。

 EU離脱後の移行期間は2020年末に終了する予定だが、ジョンソン氏は7月1日までに1年、あるいは2年の延長を求めることが可能。ただジョンソン氏は選挙期間中、非常手段である延長要請は決して行わないと断言していた。(c)AFP/Alex PIGMAN