【12月13日 AFP】ベジタリアン向けの植物由来の代替肉製品を「肉」と称することを禁じる米州法をめぐり、米南部アーカンソー州の連邦地裁は11日、適用の一時差し止めを命じた。

 米国では、代替肉の台頭を脅威と見る畜産業界の働き掛けにより、複数の州で商品表示の規制が導入されてきた。アーカンソー州でも今年7月、ベジタリアン向けやビーガン(完全菜食主義者)向けの食品に「ソーセージ」「ロースト肉」「バーガー」などの名称を用いた場合、製造業者に違反1件につき罰金1000ドル(約11万円)を科す州法を導入した。植物由来の製品だと包装に明記されていても、違反とみなす内容だ。

 これに対し同月、七面鳥(ターキー)に見た目と味を似せた豆腐製品を製造する米企業トーファーキー(Tofurky)が、合衆国憲法で保障された「表現の自由」を侵害する法律だとして、差し止めを請求していた。

 州都リトルロック(Little Rock)の連邦地裁は11日、トーファーキー側の主張を認め、今後行われる審理で結論が出るまで州法の適用を一時差し止める判断を下した。

 代替肉ブームの中、植物由来製品のメーカー各社は規制の波にあらがう動きを強めている。ミズーリ州、ミシシッピ州、ルイジアナ州でも同様の州法をめぐり、米国自由人権協会(ACLU)やベジタリアン団体「グッド・フード・インスティテュート(GFI)」、動物愛護団体などが中心となって訴訟が行われている。

 GFIによると米国では昨年、環境・動物福祉への懸念や個人の健康への関心を背景に、代替肉の販売が23%増加した。(c)AFP