【12月13日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア(Donald Trump Jr)氏がモンゴルを訪れた際、絶滅の恐れがある野生のヒツジ「アルガリ」を狩猟許可なしに射殺し、後日モンゴル当局から遡及(そきゅう)的に許可を得ていたと、非営利報道組織プロパブリカ(ProPublica)が12日に報じた。米大統領の息子への特別待遇ではないかとして、動物愛護団体などから批判が出ている。

 トランプ・ジュニア氏と弟のエリック(Eric Trump)氏は熱心な狩猟ファンとして知られ、ジュニア氏は以前にも趣味のハンティングをめぐって非難を浴びている。

 プロパブリカによるとトランプ・ジュニア氏は今年8月、息子を連れてモンゴルに1週間ほど滞在していた際、アルガリ1頭を撃った。同氏には米・モンゴル両国の警護隊が同行していたという。

 準絶滅危惧種に指定されているアルガリは、大きな巻き角が特徴の野生ヒツジで、モンゴルでは国の宝とみなされている。
 
 プロパブリカは専門家の話として、アルガリの狩猟は許可制で、認められることはまれだが、許可証の発行制度は政治的・経済的な影響を強く受けた不透明なシステムになっていると報道した。トランプ・ジュニア氏は9月2日、狩猟区域を離れた後でモンゴル当局から許可を得たという。

 また、プロパブリカが伝えた政府関係者の話によれば、トランプ・ジュニア氏は狩猟認可を得た後、モンゴル出国前にハルトマー・バトトルガ(Khaltmaa Battulga)大統領と私的に面会したという。

 動物愛護団体「全米人道協会(HSUS)」のキティ・ブロック(Kitty Block)会長は、野生のアルガリはモンゴル国内に1万8000頭しか生息していないとブログ投稿で指摘。にもかかわらず、2008~18年に米国人ハンターが狩猟の記念品(トロフィ-)として米国内に持ち帰ったアルガリは254頭分に上ると批判した。

 モンゴル政府が、米国の機嫌を取ろうとしたのではないかとの声もある。

 トランプ・ジュニア氏はインスタグラム(Instagram)にモンゴル旅行関連の投稿を行っているが、ツイッター(Twitter)上ではヒツジを撃ち殺したのは「ひきょう」だとやゆされている。(c)AFP