【12月27日 AFP】パプアニューギニアの山岳地方で魔女狩りが多発しており、周辺一帯を恐怖に陥れている。魔女狩りをする部族らは、自分たちの世界が急速に変化しつつあることに恐怖を抱いており、これを黒魔術のせいにしているのだという。(※この記事は、2019年2月2日に配信されました)

 例えばある魔女狩りでは、高齢の女性が小屋の床で身をよじって、半狂乱で懇願するも、殴打され、レイプされ、拷問され、裸にされ、血まみれになった瀕死の状態で小屋の外に引きずり出された。そこに、村人らがさらに暴行を加え、火あぶりにし、最後に女性は息絶えた。

 村のほぼ全員がこの魔女狩りに加わった。誰も顔を隠そうとも、止めようともしなかった。

 群衆は、自分たちは正しいことをしているのだと信じている――それが、一族の男性を殺し、その心臓をむさぼり食った、人ならぬ魔術師を阻止する唯一の方法なのだと。

 AFPが入手したこの生々しい光景が映し出された動画は、携帯電話で録画されたものだ。警察も、同様の魔女狩りの動画を数十本、証拠として保有している。

 この地域では魔女狩り関連で、過去数年間に少なくとも20件の殺人と数十件の襲撃事件が発生している。

 エンガ(Enga)州全域などパプアニューギニアでは長い間、魔術や魔力が信じられてきていたが、リンチ殺人は古くからある儀式や習慣ではないという。

 エンガで生まれ育ったキリスト教の宣教師アントン・ルッツ(Anton Lutz)さんは「これは新しい現象だ」と指摘する。ルッツさんはこれまで、魔女と非難された人々を何人も救出してきた。中には6歳の少女もいたと言う。

「われわれには確かに幽霊の話や、面白いことを語る石の話などが昔から伝わっている」とルッツさん。「だが、女性に他人の死の責任を負わせたり、死ぬまで何時間も残虐で性的な拷問を加えたりするような習慣は新しいものだ」

「この習慣は5年ほど前から始まった」「昨年は非常に増えた。まるで毎週、隔週ごとに襲撃が起きているようだった」

 ルッツさんによると、発作のように起こる魔女狩りは、地元の人には原因が分からない死がきっかけとなるという。心臓発作や糖尿病、エイズウイルス(HIV)は以前よりは知られるようになったが、まだ十分に理解されていない。健康だった人の死は、コレステロールではなく安易に魔術が原因だとされるのだ。

 最近、8人が死亡する飲酒運転事故が発生した。人々は、なぜ生き残った人もいれば、死んだ人もいるのかと疑問に思い、その結果、魔女狩りへと駆り立てられた。

 魔女は単独では行動しないと広く信じられている。このため魔女狩りに加わる人は、魔女がいる知らせをなるべく早く拡散しようとする。それと同時に、恐怖も拡大していく。「グラスマン(Glasman)」と呼ばれるご都合主義の占い師の出現も事態を悪化させた。彼らは地方を旅して、お金のために魔女たちを見つけ出すことを仕事としており、殺人件数を急増させた。部族による報復行為としての魔女狩りも同様に増加している。