【12月15日 CNS】北京の故宮博物院(The Palace Museum)で8日、「タシルンポ寺(Tashi Lhunpo Monastery)が紫禁城(故宮、Forbidden City)に出会った時」と銘打った展示会の開幕式が行われた。これは故宮博物院が設立以来初めての歴代パンチェン・ラマ(Panchen Lama)と宮廷仏教芸術をテーマとする専門の展示会だ。

 同展では、故宮博物院とタシルンポ寺が所蔵してきた貴重な文化財280点を展示。チベット仏教の文化財や歴代パンチェン・ラマと中央政府の間で取りかわされた精緻な貢ぎ物などが含まれ、故宮からは203点、タシルンポ寺から77点が出展されている。

 タシルンポ寺は、チベット・日喀則市(シガツェ、Shigatse)にあるチベット仏教ゲルク派の代表的な寺院で、同派最高指導者の歴代パンチェン・ラマの本拠地だ。寺院内には、中国からチベット・ヒマラヤ地区にかけての古代仏教芸術の珍品や歴代皇帝がパンチェン・ラマを授けた際の金印、詔書、皇帝下賜品などの文化財を大量に保存している。

 これに対し、広大な故宮の中には「中正殿(Zhongzhengdian)」「雨花閣(Yuhuage)」「慈寧宮(Cininggong)大仏堂」など数十か所のチベット仏教殿堂が散在し、数万点に上る仏像、チベット絵画の「唐卡(タンカ)」や仏具などのチベット仏教の文化財を保存している。それらの中には、清の朝廷に属する匠(たくみ)らによる作品と、チベットやモンゴルなどの地域から朝廷に献上された作品も含まれる。

 故宮博物院の王旭東(Wang Xudong)院長は「パンチェン・ラマと宮廷仏教芸術をテーマとする専門展示会は今回が初めて。タシルンポ寺の文化財が寺を出て、博物館に入り、市民に公開されるのも初めて。この機に、歴代パンチェン・ラマの事績とタシルンポ寺の文化、芸術と悠久の伝統を世界に向けて発信したい」と述べている。(c)CNS/JCM/AFPBB News