【12月18日 東方新報】中国最高人民検察院によれば、2019年1月以来、全国の検察機関が逮捕した反社会勢力(マフィア・犯罪組織)による凶悪犯罪が1842件5万3015人で、うち起訴されたのは1万1737件7万7152人に上った。中でも雲南省(Yunnan)の孫小果(Sun Xiaoguo)事件や湖南省(Hunan)の運動場白骨死体事件など、地方の司法当局との癒着により長年隠蔽(いんぺい)されていた事件についても、検察が専門家チームを組織して指揮をとり、立件できたと強調された。

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 孫小果事件とは、21年前に複数の強姦(ごうかん)、傷害罪により昆明市(Kunming)中級人民法院で死刑判決を受けながらも、公安警察の子弟という立場とコネを利用して死刑を免れ、12年5か月で出所していた孫小果被告が、偽名で企業家となり、地元夜の顔役として裏社会で暗躍していた事件。今年3月、別件の障害罪で逮捕されたことで判明し、当時の検察機関や監察機関の公務員19人が関与する反社会勢力と地方司法機関の大型癒着事件として捜査、立件された。

 運動場白骨死体事件とは、16年前に湖南省の中学校運動場建設費横領事件への加担を拒否したことで殺害された当時の工事品質監督管理責任者の遺体が、2019年6月に運動場に埋められたことが発覚した事件。殺人犯で当時の建設請負業者の杜少平(Du Shaoping)被告が4月に別件で逮捕されたことをきっかけに事件が明るみになり、遺体が発見されDNA検査で被害者を特定、立件できた。当時、失踪者扱いになっていた被害者が殺害された疑惑は地元でうわさになっていたものの、杜少平被告が事件現場の中学校の学校長の身内であり、地元政府・公安関係者ともコネのある名士であったことから、捜査の手が及ばなかった。

 長い時間を経て光が当てられ真相が解明された地元政府・司法当局と反社会勢力の癒着事件については、中央政法委員会の微信(ウィーチャット、WeChat)のオフィシャルアカウントが郭声琨(Guo Shengkun)政法委書記の発言を引用する形で「目下の反社会勢力一掃キャンペーン闘争はすでに新たな段階に入った。孫小果事件、運動場白骨死体事件の例は、このキャンペーンによって公平正義の成果が絶えず得られていることを証明している」「反社会勢力一掃に例外はなく、どんな罪もどんな犯罪も逃さず、死角はなく、禍根も残さない」と大きく評価。

 中国では2018年1月から3年計画で「反社会勢力一掃キャンペーン闘争」が展開され、マフィア・犯罪組織が地元司法当局と癒着している地方の犯罪土壌を一掃しようと努力している。(c)東方新報/AFPBB News