【12月12日 AFP】オーストリア人作家ペーター・ハントケ(Peter Handke)氏の2019年ノーベル文学賞(Nobel Prize in Literature)受賞に抗議の声が上がる中、コソボは11日、ハントケ氏を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」に指定し、入国を禁止した。ハントケ氏は、コソボを何度も訪れていた。

 バルカン(Balkan)半島諸国で、ハントケ氏はユーゴスラビア紛争中のセルビア人による残虐行為の擁護者とみなされており、スウェーデン・アカデミー(Swedish Academy)が同氏を受賞者に選定したことで、古傷が暴かれる事態となっている。

 ハントケ氏の受賞をめぐっては、選考委員1人が辞任。アルバニアとボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、コソボ、北マケドニア、トルコの大使らが11日の授賞式を欠席した。

 ハントケ氏は、内戦中の1995年にボスニアのセルビア人勢力がイスラム教徒の男性と少年8000人を殺害したスレブレニツァ(Srebrenica)の虐殺に疑義を呈しているとして批判されており、同氏の受賞は大勢のボスニアのイスラム教徒にとっても耐え難いものとなっている。

 ボスニアの首都サラエボも11日、ハントケ氏の訪問は内戦の犠牲者らに「怒りと屈辱を呼び起こす」として、同市への立ち入りを正式に禁止した。(c)AFP/Ismet HAJDARI