【12月11日 AFP】国際司法裁判所(ICJ、オランダ・ハーグ)で10日、ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)へのジェノサイド(集団殺害)をめぐる裁判が開かれ、同国のアウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)国家顧問を前に、「自国民へのジェノサイドをやめる」ようミャンマーに命じるべきだとの主張がなされた。

 12月10日はスーチー氏が28年前にノーベル平和賞を受賞した節目の日。同氏は自ら弁護団を率いて出廷し、原告である西アフリカのガンビアが大量殺人やレイプの状況を克明に描写するのを聞いていた。

 イスラム教徒が多数を占めるガンビアは、ミャンマーが1948年のジェノサイド条約に違反していると主張。さらなる暴力行為を中止させるため緊急措置を講じるよう求めた。

 スー・チー氏は11日にミャンマーの弁護に立つ。同氏は、ミャンマーはロヒンギャの戦闘員らに対して正当な作戦を実施したと主張するとともに、本件はICJの管轄外だと訴える見通し。

 ミャンマーでは2017年、軍による激しい弾圧の後、ロヒンギャ約74万人が隣国バングラデシュに避難した。国連(UN)の調査担当者らは、軍の行為はジェノサイドだったとしている。

 スー・チー氏はロヒンギャの苦境に対して沈黙を保ち、国際社会で人権運動の象徴としての名声を低下させている。一方、ミャンマーの最大都市ヤンゴンでは同氏を支持する集会に多くの人が参加した。(c)Danny KEMP and Jan HENNOP