【12月11日 AFP】競泳男子の五輪金メダリストで、抜き打ちのドーピング検査を逃れたとして最大8年間にわたる出場停止処分の可能性に直面している中国の孫楊(Yang Sun、ソン・ヨウ)について、スポーツ仲裁裁判所(CAS)が10日、裁定を少なくとも来年1月中旬以降に遅らせることを発表した。証言の通訳に問題があったことが理由だという。

 2018年9月の抜き打ち検査で、検査官が訪れた後に金づちで血液サンプルを壊したとされている孫は、先月15日に一日限りのCASの公開ヒアリングに臨んだが、その際の証言の通訳に「いくつか懸念が生じた」という。

 CASは「公開ヒアリングの進行と日程については、仲裁担当者も、両当事者の代理人も満足しているが、孫氏の通訳の質にいくつか懸念が生じている」「両当事者は現在、双方の合意で審理の議事録を作成しており、その中には孫氏の証言全文の翻訳も含まれる。パネルはそれに基づいて審理と仲裁の判断を行う」と話し、決着が来年1月中旬以降になることを明かした。

 孫のヒアリングは、CASでは20年ぶりとなる公開状態で行われたが、機器の不具合や、中国語から英語への通訳ミスなどでスムーズに進まず、代理人をいら立たせた。CASによれば、通訳は双方合意の下、孫側が選んだ民間の通訳会社の人で、CASが通訳を用意することは「独立性と中立性」の観点からできないという。(c)AFP