【12月14日 CNS】中国人民銀行(People's Bank of China、中央銀行)は先日、「人民銀行の名をかたった法定デジタル通貨の発行あるいは販売に関する通知」を発表し、人民銀行は法定デジタル通貨(DC/EP)を発行しておらず、いかなる資産売買プラットフォームに対して販売委託をしたこともないと表明した。

 発表によると、中国人民銀行は2014年から法定デジタル通貨の研究を始めたが、まだ検討段階にある。市場で取引されている「DC/EP」あるいは「DCEP」はいずれも非法定デジタル通貨で、ネット上で流されている法定デジタル通貨の発行予定時期などの情報はすべて正しくないとのことだ。

 11月上旬、インターネット上で一つのニュースが拡散した。中央銀行のデジタル通貨準備チームが上海で複数のブロックチェーン企業関連の責任者と会い、それらの企業が中央銀行のデジタル通貨の第一期プロジェクトに参画するというものだった。中央銀行はこのうわさを否定している。

 中国社会科学院金融研究所の尹振涛(Ying Zhentao)副主任によると、法定デジタル通貨は、紙幣の流通コストの大幅低減が可能で、現在、実体通貨の偽造技術の巧妙化に伴い、鑑定技術と偽造防止技術も絶えず向上させる必要がある。この面で投入する資金も多いが、法定デジタル通貨は、このコストを減らすことができ、しかも、法定デジタル通貨の持つ遡及(そきゅう)機能は、一定程度、商業取引における資金の安全を保障できる、という。

 国際通貨基金組織(IMF)が今年の7月に発表した報告書によると、世界の7割の中央銀行は法定デジタル通貨を研究中だ。現在、ベネズエラ、セネガルなどの国はすでに法定デジタル通貨を発行しているが、多くの国はまだ検討段階にあり、20か国・地域(G20)の中で、法定デジタル通貨を発行した国はいまだにない。

 中央財経大学(Central University of Finance and Economics)の鄧健鵬(Deng Jianpeng)教授の分析によると、法定デジタル通貨を発行して成功できなかった国の主な原因は、当該国の通貨自身の信用度が低かったことによる。中国における法定デジタル通貨の研究はすでに数年間行われてきており、技術的にも資金的にも相当なレベルにある。主要経済体の中で法定デジタル通貨を発行した国はまだ一つもないが、準備の進捗(しんちょく)度合いから言えば、中国人民銀行は最先端を行っている、とのことだ。

 一部の国で手掛けられつつある法定紙幣・貨幣を廃止し、デジタル通貨に転換し、キャッシュレス社会を実現させようとする試みについては、鄧教授は、高齢者や身障者のスマートフォン使用率や電子設備の使用障害の状況から見て、現時点では、中国ではキャッシュレス社会の試みは行わないだろう、と語った。(c)CNS-法制日報/JCM/AFPBB News