【12月11日 AFP】生息地破壊の脅威に直面している数百の動植物種が、人為的気候変動からのさらなる圧力にもさらされていると、国際自然保護連合(IUCN)は10日に発表した「レッドリスト(Red List of Threatened Species)」更新版の中で明らかにした。

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 IUCNは今回、絶滅の恐れがあるとして、レッドリストに1840種を新たに追加した。リストに掲載されている絶滅危惧種は現在、3万種以上に上る。

 IUCNのグレーテル・アギラル(Grethel Aguilar)事務局長代理は「気候変動は生物種が直面する多種多様な脅威を増大させている。人類はこの危機を抑制するために早急に断固とした行動を取る必要がある」と指摘する。

「今回の更新版は、野生生物に対する人的活動の影響が増大し続けていることを浮き彫りにしている」

 IUCNによると前回の評価以来、73種で個体数の明確な減少を確認したという。

 レッドリスト更新版は、スペインの首都マドリードで国連(UN)の気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)が開催されている最中に公開された。公開に際しIUCNは、気候変動自体が増大する脅威となっていることがより鮮明になっているとの見解を示している。

 気温上昇はすでに複数種の淡水魚やサメの個体数減少の一因となっている。新たなリストでは、オーストラリアに生息する淡水魚種の37%が絶滅の危機に陥っているとされた。サメの一種のタンビコモリザメの残存個体数は過去30年間で約80%減少したという。海水温の上昇に伴い、タンビコモリザメが生息する浅海の環境が悪化しているのだ。

 数十種に及ぶ鳥類と植物についても、気温上昇による脅威にさらされていることが明らかにされた。

 他方でIUCNは、一度は「野生絶滅種」に指定された鳥類のグアムクイナの個体数回復といった保護活動の成功例にも触れ、「政府、環境保護組織、地域社会などが協力すると、生物多様性損失の傾向を覆すことが可能となる。断固たる保護活動の結果が実証している」とコメントしている。(c)AFP