【12月11日 AFP】ロシアに対して4年間の国際スポーツ大会出場禁止の処分が下されたことについて、同国トップ選手の一人で、世界陸上(IAAF World Championships in Athletics)の女子走り高跳びを3連覇しているマリア・ラシツケネ(Mariya Lasitskene)が、国内スポーツ関係者の責任を追及している。

 以前からロシアのスポーツ当局に対して批判的だったラシツケネは、スポーツ系ウェブサイトのChampionat.comに公開書簡を投稿し、国家ぐるみの薬物スキャンダルと、自身がロシアの選手として大会に出場できない責任を取った人はいるのかと訴えた。

 ラシツケネは、2016年のリオデジャネイロ五輪はこの問題で出られず、2020年東京五輪に出場するためロシアを離れた。「2015年末、私のもとからロシア国旗が奪われた」と話す26歳は、自身を「聞きたいことが山ほどあるアスリート」と呼び、こう訴えた。

「内部調査は行われたのか。誰か処分は受けたのか」「なぜロシア陸上界がいまだに禁止薬物を使い、ドーピングで捕まった選手のコーチが仕事を続け、責任ある立場の人間が公式文書の改ざんを続けているのか」

 世界反ドーピング機関(WADA)は9日、薬物検査のデータを組織的に操作していたとして、東京五輪や2022年サッカーW杯カタール大会(2022 World Cup)など、主要な国際大会からロシアを4年間締め出すことを決めた。

 2015年と2017年、2019年の世界陸上で3連覇しているラシツケネは、以前からロシア陸上競技連盟(RUSAF)会長の辞任を求めている。中立の立場での出場は精神的につらいと話しており、国籍を変えてはどうかとSNSで提案するファンもいるが、本人は新たなパスポートを取得する予定はないと答えている。(c)AFP