【12月11日 AFP】ニュージーランド北部のホワイト島(White Island、マオリ名:ファカアリ、Whakaari)で9日に発生した火山噴火をめぐり、犠牲者の救助に当たった人々の果敢な行為や、現場の惨状、負傷者の深刻な容体が明らかになっている。噴火では推定14人が死亡し、日帰りで冒険気分が味わえるはずだったツアーは一転、悪夢へと変わった。

 ジャシンダ・アーダーン(Jacinda Ardern)首相は、噴火直後のホワイト島に着陸した救助ヘリコプター4機の搭乗員らを称賛。「パイロットたちは、非常に危険な状況の中、人々を救出するために素晴らしく勇敢な決断をした」と記者らに語った。

 現場に急行した救助隊員の一人であるラッセル・クラーク(Russell Clark)さんは、「衝撃的」な被害状況を目の当たりにしたと語っている。

 クラークさんはテレビ・ニュージーランド(TVNZ)に対し、「生存者は見つけられなかった」と説明。ヘリコプター1機が粉じんに覆われ、回転翼が損傷した状態で駐機していた現場の様子を回想し、「あれはまるで、テレビドラマの『チェルノブイリ(Chernobyl)』を見た時のようだった。すべてが灰に覆われていた」と語った。

「現場にいた人々のことは想像しかできない。どこにも逃げ場がなく、本当に恐ろしい体験だっただろう」(クラークさん)

 ニュージーランド人のジェフ・ホプキンズ(Geoff Hopkins)さんが乗っていたツアーボートは、噴火が起きた時、島を出発したところだった。ホプキンズさんは、「恐ろしい」灰の雲が広がったと語っている。

 島に残った人々が海へ飛び込む様子を見た後、ボートは危険を顧みずに島へと接近したという。ホプキンズさんは現地紙ニュージーランド・ヘラルド(New Zealand Herald)に「ひどいやけどを負っていない人はいなかったと思う」と語った。

 ホプキンズさんによれば、負傷者は他の観光客から水膨れのできた肌の手当てを受ける中、叫んだりショック状態に陥ったりしていたという。ニュージーランド保健当局によると、生存者34人のうち27人が全身の71%超にやけどを負い、治療を受けている。

 これまでに6人が死亡したほか、行方不明者8人も死亡したとみられているが、現場ではさらなる噴火の恐れや有毒ガス、火山灰によって遺体収容活動が阻まれている。(c)AFP/Marty Melville, with Neil Sands in Wellington and Holly Robertson in Sydney