【12月10日 AFP】(更新、写真追加)ウクライナ東部の紛争終結に向けてフランス・パリで9日に行われたロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領の初の首脳会談で、両国は年内に完全な停戦を履行するとともに、2020年3月までに部隊の追加撤収を行うことを目指して作業を進めることで合意した。

 会談は緊張緩和に向けて一定の成果を上げたが、ウクライナ東部で5年にわたって続いている親ロシアの分離独立派とウクライナ政府軍の紛争終結に向けた大きな突破口とはならなかった。

 両国の首脳会談は、パリのエリゼ宮(Elysee Palace、大統領府)で、仏独首脳を含めた4者会談の後に行われた。ウクライナ問題でこの4か国の首脳が会談したのは4年ぶり。

 約8時間にわたって行われた一連の会談後に4か国が出した共同宣言は、「(ロシアとウクライナの)両国は、必要な全ての停戦支援策によって強められる完全で包括的な停戦を、2019年末までに履行することを約束した」と述べ、さらに「2020年3月末までに兵員と兵器を引き離すことを目的として」ウクライナ東部に新たに設ける3か所の撤退地域について今後合意する必要があるとしている。

 ゼレンスキー大統領は、ウクライナ政府と分離独立派の間で年内に新たな捕虜交換を行うと明らかにした。

 プーチン大統領は緊張緩和に向けた「大きな一歩だ」と会談の成果を評価したが、ゼレンスキー大統領は歴史的な会談の後、「いくつもの問題について話し合い、他の首脳らは初会談としては非常に良い結果を得たと述べていた。しかし率直に言えば、達成できたことはごくわずかだった。私はもっと多くの問題を解決したかった」と述べた。

 フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は、会談が行われたこと自体が一つの成果だと述べ、紛争終結に向けた進捗(しんちょく)を確認するため、4か月後に再度首脳会談を行うと語った。 

 ロシア政府は、プーチン大統領が「好感が持てる」「誠実だ」と評価しているゼレンスキー大統領と協力する用意があるというシグナルを出していた。しかし、深夜に開かれた共同記者会見で、マクロン仏大統領とアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相を挟んだ両端の席に座ったロシアとウクライナの両大統領の間に温かい交流の兆しは見られなかった。

 ウクライナ大統領府の周辺では、プーチン大統領に「屈服」しないようゼレンスキー大統領に圧力をかけようと、約200人がテントを張って夜を過ごした。

 2014年にウクライナ東部で親ロシア派がウクライナからの分離独立を求めて紛争が発生して以来、これまでに1万3000人以上が死亡し、約100万人が家を追われている。(c)AFP/Maria PANINA and Anya TSUKANOVA with Stuart WILLIAMS