【12月10日 AFP】1970年代・80年代に米国のインフレと闘ったポール・ボルカー(Paul Volcker)元米連邦準備制度理事会(FRB)議長が8日、ニューヨークで死去した。92歳だった。娘のジャニス・ジマ(Janice Zima)さんがAFPに明らかにした。最近では金融機関の画期的な改革でも名を残した。ジマさんによると、ボルカー氏は前立腺がんの合併症により亡くなった。

 民主党員のボルカー氏は、リチャード・ニクソン(Richard Nixon)大統領を皮切りに、民主・共和両党の指導者に助言した。1971年には財務省で米国の金本位制からの離脱を導いた。

 米指導者への助言はバラク・オバマ(Barack Obama)大統領まで続き、ボルカー氏はオバマ政権で、世界金融危機の発生を受けて2008年、厳格な銀行規制を呼び掛けた。

 しかしボルカー氏が最もよく知られるのが1979~87年に務めたFRB議長としてだ。まずジミー・カーター(Jimmy Carter)大統領、続いてロナルド・レーガン(Ronald Reagan)大統領政権時代のFRBトップとして、厳しい時代にもかかわらず世界のエコノミストからの尊敬を得た。

 カーター氏は9日、ボルカー氏の死を受け「深い悲しみ」に沈んでいると語り、ボルカー氏は「公務の巨人」だったと述べた。ボルカー氏の行動により自分は大統領に再選できなかったかもしれないが、それでもボルカー氏の取った行動は「正しいこと」だったと指摘した。(c)AFP/Virginie MONTET