マレーシアで27年ぶりにポリオ発生 生後3か月の乳児が感染
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【12月9日 AFP】マレーシアの保健省は8日、27年ぶりに同国でポリオの感染が報告されたと発表した。ボルネオ(Borneo)島で生後3か月の乳児が感染したと診断されたという。
ヌール・ヒシャム・アブドラ(Noor Hisham Abdullah)保健局長は、ボルネオ島北部サバ(Sabah)州トゥアラン(Tuaran)出身の乳児に発熱と筋力低下の症状がみられ、集中治療室に入院したと明らかにした。
ポリオは非常に感染性の高いウイルス性疾患で、有効な治療法は存在せず、経口と注射による複数のワクチン接種でしか予防できない。感染すれば神経系や脊髄に影響が及び、まれに死に至ることもある。
過去30年にわたり、ポリオ対策は世界的に大きな進展を遂げてきた。世界保健機関(WHO)によると、昨年に全世界から報告されたポリオ症例はたった33件だった。
公衆衛生の専門家、T・ジャヤバラン(T. Jayabalan)氏はAFPに対し、マレーシアでは予防接種が義務化されていないため、今回のポリオ発生に驚かなかったと述べ、「今回初めての症例は、氷山の一角にすぎない。感染が拡大する可能性がかなり高い」と警告した。
ジャヤバラン氏によると、偽情報を信じてワクチン接種を拒否する人もいるという。
サバ州近海で国境を接するフィリピンでも9月に、約20年ぶりにポリオの感染が報告されたばかり。(c)AFP