【12月9日 AFP】フランスで年金制度改革案に反対する全国ストライキにより、公共交通機関がまひ状態に陥ってから4日目に突入した。

 同国のエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領やエドゥアール・フィリップ(Edouard Philippe)首相と閣僚らは8日夜に会合を開き、年金制度改革案に関する協議を行った。

 この改革案では、全ての経済部門を一本化し、ポイント制に基づいた統一年金制度の導入が計画されている。しかし同国の強力な労働組合は、これによって退職年齢が遅くなり、年金受給額が減るとして改革案を非難し、5日に全国ストライキを開始。抗議デモには全土で約80万人が参加した。

 大規模なストライキにより通勤客は足止めされ、学校は閉鎖され、観光業は打撃を受けた。仕事を休むか、在宅勤務できた人も多かったが、列車の本数が最小限に減らされる中、危険なほど超満員となった郊外の電車や地下鉄に乗るほかない人も大勢いた。

 フランスで計20万人の労働者を抱える2万7000社を代表する業界団体の連合体アリアンス・デュ・コメルス(Alliance du Commerce)によると、スト初日にはすでに平均売上高が30%下落。またホテル協会によると、パリ周辺の広範囲な地域で予約数が30〜40%減少した。

 世界的に有名なルーブル美術館(Louvre Museum)では一部の展示室が閉鎖され、オペラ座(Paris Opera)などの劇場公演は中止となり、多くの観光客を落胆させた。また経営者らは、クリスマスの買い物シーズンに顧客数が激減していることによる収益への影響を懸念している。(c)AFP/Mariette le Roux