【12月8日 AFP】インド南部ハイデラバード(Hyderabad)で27歳の女性獣医師が男らに拉致され集団レイプされた後、殺害されて遺体を焼かれた事件で、警察が容疑者4人を射殺したことを受けて、インドで最も影響力のある人権団体「国家人権委員会(National Human Rights Commission)」が7日、調査に乗り出した。容疑者射殺をめぐっては、警察が国民の怒りを静めるために殺害したと非難する声が上がっていた。

 しかし、女性に対する暴力がまん延し、刑事司法制度に過度の負担がかかっているため容疑者が処罰を逃れる事例が相次いでいるインドでは、大勢の国民が容疑者らの死を祝った。

 この事件をめぐっては、容疑者に速やかに厳しい刑罰を科すよう求めるデモが全国各地で発生。ある議員は「リンチ(私刑)」を呼び掛けていた。

 容疑者射殺に祝福の声が上がる一方、懸念の声も上がった。最高裁判所判事の一人は「冷酷な殺人」と呼び、国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は「超法規的な処刑の疑い」があるので、調査すべきだと主張した。

 現地紙インディアン・エクスプレス(Indian Express)は7日付の社説で、容疑者射殺は「中世の民衆による私的制裁という概念を反映している」と指摘した。

 インドではしばしば、警察が捜査のミス隠しや市民らの怒りを静める目的で、司法手続きを経ずに超法規的に容疑者を殺害し、批判されている。

 最新の公式統計によると、インドでは、2017年に3万3000人超の女性がレイプ被害を受けた。しかし、専門家によると、膨大な数の性的暴行が通報されていないという。

 同時に、膨大な数の事件が未解決のままとなっており、大勢の被害者が何年も加害者に有罪判決が下されるのを待たされている上、多数の加害者が処罰を逃れている。(c)AFP/Archana THIYAGARAJAN