【12月8日 Xinhua News】東京大学(University of Tokyo)と韓国の崔鐘賢(チェ・チョンヒョン)学術院が共催する第1回東京フォーラムが6日から8日まで、東京大学で開催されている。

 アリババ・グループ(Alibaba Group)の創業者、馬雲(Jack Ma、ジャック・マー)氏とソフトバンクグループ(SoftBank Group)の最高経営責任者(CEO)、孫正義(Masayoshi Son)氏が6日午後、同フォーラムで対談し、人工知能(AI)や科学技術の発展、教育についての考えを共有した。2人はAIの発展は人に取って代わるものではなく、人こそが何よりも重要な要素であり、教育方式の変革によって、より多くの人材を育成することが必要だと強調した。

 馬氏は、人類がIT(情報技術)時代からDT(データ・テクノロジー)時代へと向かう中、教育システムは産業革命時代に構築されたものが続いていると指摘。「かつてはより多くのことを暗記し、より早く計算し、より多くの知識を身に着けるようにと教えていた。どうやって機械のように働くかを教えていた。しかし、今われわれは機械を人間に近づけている。だからこそ、教育方式を変革し、子どもたちが創造力や建設性、革新性を身に着けられるよう保障することが必要になる」と語った。

 孫氏もこの見方に賛同し、AIが人間から仕事を奪うという心配が誇張されているが、これは日本が1868年の明治維新後に農業社会から離れた状況に似ていると指摘。孫氏は「AIは新たな仕事を生み出し、われわれはいつまでも新しい、わくわくする仕事を見つけられるだろう」と述べた。

 2000年に創業初期のアリババに2000万ドル(1ドル=約109円)を投資した孫氏は、「2000年にはITバブルが崩壊しかけていたが、中国は当時まだインターネット発展の初期段階にあり、私の目には次のチャンスは中国にあると映った」と明かした。20社近い企業の中で馬氏だけが孫氏の心を動かし、10分で投資を決断したという。

 孫氏は馬氏について、「何か一つの分野の専門家」ではなく、「馬氏にとって、具体的な事柄は問題ではなく、単にその分野で最も優秀な人材を探し出すか、若者をその分野で最も優秀な人材に育て上げる」のだと評した。

 また、「馬氏は金銭を追い求めたことは一度もなく、彼の夢は若い企業家を育ててこの世界を変えることだ」とも語り、孫氏自身もより多くの若者により大きな夢を追い求めてほしいと願っていると話した。(c)Xinhua News/AFPBB News