【12月8日 AFP】19-20フィギュアスケートグランプリ(GP)ファイナルは7日、イタリア・トリノ(Turin)で男子シングル・フリースケーティング(FS)などが行われ、ショートプログラム(SP)2位からの逆転優勝を目指した羽生結弦(Yuzuru Hanyu)は2位に終わり、世界最高得点を更新して3連覇を達成した米国のネイサン・チェン(Nathan Chen)に「少し嫉妬している」と悔しさをにじませた。

 エルトン・ジョン(Elton John)の楽曲『ロケットマン(Rocketman)』で演技を披露したチェンは、合計335.30点を記録して偉大なライバルの逆転を許さなかった。

 五輪連覇中の羽生は史上最多5度目のファイナル制覇をチェンに阻まれた。3位は合計275.3点を記録したフランスのケビン・エイモズ(Kevin Aymoz)だった。

 最終6番滑走のチェンは、この日が25歳の誕生日だった5番滑走の羽生の演技後にファンがリンクに投げ入れた「くまのプーさん(Winnie-the-Pooh)」のぬいぐるみが片付け終わるまで待機を余儀なくされた。

 基礎点が増える後半の2本を含め5本の4回転ジャンプをすべて成功させたチェンは、最後のジャンプを3回転ルッツと3回転トーループのコンビネーションで締めくくった。

 20歳のチェンは、今年の世界選手権(ISU World Figure Skating Championships 2019)で自身が記録したFSの世界最高得点を8.9ポイント上回り、合計でも最高得点記録を約12ポイント、自らの手で更新した。

「驚いた。得点には本当に感動した」と喜んだチェンは、「最後はガス欠になってしまったので、もう少しスタミナの強化に取り組む必要がある」と今後の課題も口にした。

 今回の結果は、羽生に年齢を感じさせるとともに嫉妬心を芽生えさせた。「少し嫉妬しているけれど、彼のことを心からリスペクトしている」

「ネイサンはフィギュアスケートをより難しいものにしている。僕は彼よりもかなり年上ですが」「彼はこの競技を前に推し進めているし。練習では自分の目標像になっている」

「五輪のメダルを二つ持っているがそれは過去のこと。今を生きたいし、ネイサンともっともっとしのぎを削りたい」

 今大会と同じ会場の2006年トリノ五輪でエフゲニー・プルシェンコ(Yevgeny Plushenko)氏が金メダルに輝いたエドウィン・マートン(Edvin Marton)の『オリジン(Origin)』で臨んだFSで羽生は、4回転ジャンプを5本着氷したものの、3回転フリップが回転不足となり、トリプルアクセルがシングルになるミスもあった。

「ショートプログラム(SP)の後に、(4回転を)5本にしようと思った。勝てないと分かっていてもこの大会で何かを成し遂げたいと思っていた。結果的には満足しているし、この大会は自信を深める力になる」 (c)AFP/Emmeline MOORE