ミャンマーの「アパルトヘイト」 隔離されるイスラム系少数民族
このニュースをシェア
■「違法な存在ではない」
イスラム教徒のチャウピューの町への訪問は1回あたり2時間しか許されておらず、しかも武装した警察の監視下に置かれる。
マウンさんは「私たちは違法な存在ではない」と訴える。マウンさんらチャウピューに収容されているイスラム教徒の多くは少数民族カマン(Kaman)だ。ロヒンギャと異なり、カマンは正式に少数民族だと認められてはいるが、混乱が拡大する中、そのような地位は何の助けにもなっていない。
チャウピューの収容施設の住民らは、生活の立て直しを切望している。施設の指導者ピュー・チャイ(Phyu Chay)氏は今の「家」は「刑務所みたいだ」と話す。「仕事はなく、まともな薬を手に入れるのにも苦労している」
■「隔離と差別」
国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は「隔離と差別の制度化」は非常に深刻で、「アパルトヘイト(人種隔離)」であると厳しく非難している。
ラカイン州中部にあるさまざまな施設に収容されているイスラム教徒は約13万人で、その圧倒的多数がロヒンギャだ。さらに数十万人がもう少しましな状況とはいえ村々に閉じ込められており、移動の自由は事実上、奪われている。これらイスラム教徒が教育、医療、職にアクセスすることは難しい。
また、イスラム教徒の多くが、論争の的となっているNVCと呼ばれる身分証明書を押し付けられている。NVCの所有者は、完全な市民権があるとする申し立てが「立証される」まで、ほとんどの権利が認められず、不安定な状況に置かれる。
人権擁護団体は、NVCは多数のイスラム教徒、とりわけロヒンギャに押し付けられている差別の道具だと非難している。
当局はコメントの要請に応じなかった。
政府は国際的圧力を受け、すべての収容施設を閉鎖すると発表した。だが、現在の計画では「自由の身」となっても以前の家に戻ることはできない。
イスラム教徒は、今の収容施設に近い新たな宿泊施設に定住することになり、移動には引き続き厳しい制限が設けられる。 (c)AFP/Richard SARGENT / Su Myat MON