【12月9日 Xinhua News】ナノ粒子にリガンドを搭載し、自発的にがんを識別する分子標的治療の実現は、がん治療研究の重要な方向性となっているが、ここ数年、この方法の有効性を疑問視する声も高まっている。中国科学院武漢ウイルス研究所の李峰(Li Feng)研究員と同院生物物理研究所の張先恩(Zhang Xianen)研究員の共同チームは最新の研究で、ナノ粒子を利用したがん細胞の標的識別は有効だが、その効果は標的修飾パターンの影響を受けやすいことを明らかにした。

 研究チームはこのほど、タンパク質ナノケージの空間アドレス指定特性を使い、制御可能な自己組織化と高効率のクリック化学反応を利用して、小さなフェリチンナノケージ上での標的リガンドの正確な制御修飾に成功。特定のリガンド数と空間分布を持つナノ粒子モデル6種類を獲得した。

 研究チームは一連の細胞レベルと担がん動物モデルの実験により、任意のリガンドパラメーターが自発的な標的に対し、ある程度の有効性を持つことを解明。さらに研究を進め、これらリガンドの分布パターンが依存する標的性能の違いには、標的細胞表面の受容体のクラスター化や関連細胞のエンドサイトーシス、オプソニン作用などの要因が関係していることを明らかにした。

 李氏は、この研究ががんナノ医学分野における自発的標的の有効性に関する議論の理解と解明に役立つと指摘。突出した正確性が生物ナノプローブやデバイスの構築においても重要な意義を持つと述べた。研究成果はこのほど、国際的学術誌「Small」の電子版に掲載された。(c)Xinhua News/AFPBB News