【1月3日 AFP】ギリシャ西部のイオニア海(Ionian Sea)に浮かぶザキントス(Zakynthos、ザンテ)島は、手付かずの自然が残る同国有数の観光地。青い海と美しい砂浜で知られ、アカウミガメの地中海での主要な営巣地になっているほどきれいな環境だ。だが、ここでも、プラスチック汚染が野生生物への大きな脅威となっている。

 エーゲ海(Aegean Sea)の生物多様性を廃棄物から保護することを目的に、2017年に設立された「イジーアン・リブレス(Aegean Rebreath、息を吹き返すエーゲ海の意)」は発足から2年で、ペットボトル9000本、漁網3.6トン、タイヤ289本を収集。先月23日に行った活動では、わずか3時間でタイヤ4本、ショッピングカート2台の他、街灯や金属製の箱、ポリ袋やペットボトル数十本、数キロメートルの釣り糸を収集した。

 アテネ近郊の海洋研究ヘレニック・センター(Hellenic Centre for Marine Research)の生物学者カテリーナ・ツァガリ(Katerina Tsagari)氏は、「海洋ごみは地球規模の問題で、ギリシャでも起きている。ギリシャの海洋ごみの7割以上はプラスチックだ」と語る。

 ツァガリ氏のチームが検査したアカウミガメのうち、およそ75%の体内でごみが見つかった。そのほとんどはプラスチックだった。海洋種全体では、20~45%の種でプラスチックの摂取が確認された。これには、魚やムール貝が含まれていたという。

 ギリシャ政府は、毎日40トン近くのプラスチックごみが同国の海に流れ着いていることを認めている。

 キリアコス・ミツォタキス(Kyriakos Mitsotakis)首相は先月、AFPに対し、海洋保護は観光に大きく依存する同国にとって「重要な優先事項」だと述べた。

 政府は最近、カップやストローなどの使い捨てプラスチックを段階的に廃止する取り組みを始めたが、コーヒーの持ち帰り文化が広く浸透した同国では至難の業だ。

 映像前半はザキントス付近の海でごみを収集するボランティア、イジーアン・リブレス提供。後半はごみを分別するボランティア、2019年11月撮影。(c)AFP/Helene COLLIOPOULOU