【12月6日 AFP】19-20フィギュアスケートグランプリ(GP)ファイナルは5日、イタリア・トリノ(Turin)で男子シングル・ショートプログラム(SP)などが行われ、3年ぶりの出場となる羽生結弦(Yuzuru Hanyu)は97.43点で2位発進となった。大会3連覇を目指す米国のネイサン・チェン(Nathan Chen)は、ミスのない華麗な演技を見せ、110.38点の高得点で首位に立った。

 冬季五輪2連覇の王者である羽生は、チェンに匹敵する優雅で表現力が豊かなパフォーマンスを披露したものの、4回転トーループを含めた最後のコンビネーションジャンプを失敗したのが響いた。これには「くまのプーさん(Winnie-the-Pooh)」のぬいぐるみを投げ込んだファンも沈黙し、泣き出す人の姿も見られた。

 今週25歳の誕生日を迎える羽生は、「正直なところ、少しがっかりしている」「それに、ネイサンとのポイント差も少し大きなものになっている」とコメントした。

 一方、大会2連覇中のチェンは、フランスの伝説的シャンソン歌手シャルル・アズナブール(Charles Aznavour)の『ラ・ボエーム(La Boheme)』に乗せて、スムーズで落ち着いたスケーティングを披露した。

 チェンは基礎点にボーナスが加算される後半のジャンプを含め、3本のジャンプを成功させてSPの自己ベストを更新し、2018年GPシリーズ第5戦のロシア杯(Rostelecom Cup 2018)で羽生がマークした世界最高得点に0.15点差まで肉薄。演技後には、「スコアにはとても満足している。だけど、改善できる点は多い」と話し、二つのジャンプに関して「少しぐらついてしまった」と自己分析していた。

 この日、大きなサプライズをもたらしたのは、出場選手のランキングでは6番目につけていたフランスのケビン・エイモズ(Kevin Aymoz)で、違う音楽が流れて待たされるという痛恨のハプニングに見舞われながらも、自己ベストの96.71点を記録して3位につけた。

 エイモズは演技に入ろうとして自分の曲ではないと気づくと、その場で待機し、米歌手プリンス(Prince)の楽曲『The Question of U』が流れてからパフォーマンスを開始。演技を終えた後には、「氷の上に立っていたときは、とても孤独に感じて世界で自分一人のような気がした」「だけど、音楽が始まったらすべて忘れたし、とにかく喜びを分かち合えた」と振り返った。

 ロシアのドミトリー・アリエフ(Dmitri Aliev)が88.78点で4位、同胞のアレクサンドル・サマリン(Alexander Samarin)が81.32点で5位に続き、中国のスター選手である金博洋(Boyang Jin、ジン・ボーヤン)は80.67点で6位発進となった。

 ペアSPでは、2017年と2019年の世界フィギュアスケート選手権(ISU World Figure Skating Championships)で金メダルを獲得した中国の隋文静(Wenjing Sui)/韓聰(Cong Han)組が77.50点を記録し、ロシア勢3組を抑えて首位に立った。

 ロシア勢はアレクサンドラ・ボイコワ(Aleksandra Boikova)/ドミトリー・コズロフスキー(Dmitrii Kozlovskii)組が76.65点で2位、ダリア・パブリュチェンコ(Daria Pavliuchenko)/デニス・コダイシン(Denis Khodykin)組が75.16点で3位につけている。(c)AFP