【12月5日 AFP】太平洋の島国サモアは5日、麻疹(はしか)の流行を食い止めるため、2日間の日程で政府機関や民間企業などを閉鎖して、前例のない国全体での予防接種作戦に踏み切った。10月半ばに始まった今回の麻疹の流行では既に62人が死亡し、うち54人が4歳以下の乳幼児となっている。

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 サモア当局は全ての民間企業と緊急対応の不要な政府機関の閉鎖を命じ、島々を結ぶフェリーの運行や車の通行も中止した。住民には夜間外出禁止令に従って自宅で待機するよう指示が出ている。

 予防接種を受けていない住民のいる家は目印に赤い旗を立てるよう指示されており、公務員などのチームが早朝から各市町村ごとに個別訪問して、全国民20万人にワクチン接種を徹底する計画だ。

 今回の流行での感染者数は4217人で、乳幼児が大半。11月に感染者が爆発的に増えたことを受けて政府は非常事態を宣言し、流行を食い止める最後の手段として予防接種作戦に踏み切った。

 世界保健機関(WHO)によると今回の流行前、サモアの予防接種率は30%まで低下していた。背景には反ワクチン運動があるとされる。

 サモアでは昨年、麻疹ワクチンの接種後に乳児2人が死亡したとして予防接種計画が一時中断され、予防接種に対する保護者の信頼低下を招いていた。調査の結果、看護師のミスで誤った薬剤が投与されたのが2人の死因と判明したものの、ソーシャルメディアでは反ワクチン運動が活発化していたという。(c)AFP/Neil SANDS