【12月15日 AFP】結婚式場は予約済み、オーダーメードの結婚指輪も注文済み、ドレス選びも始めている――しかし、香港の民主派デモに参加する女性、メイさん(28)は結婚を保留にした。警官と結婚することに、友人たちが反対しているからだ。

 中国政府の統治下で自由がむしばまれつつあることに反対する前代未聞のデモは、6か月にわたって続いており、香港に住む人々を分裂させている。親戚、友人、時には恋人の間にも亀裂が入っている。

 仮名を条件に取材に応じたメイさんは、政治が極めて個人的な問題になっている事態を実感している市民の一人だ。来年2月に予定している結婚式は、取りやめになるかもしれない。

「花嫁の付添人をしてくれるはずの親友からは、私の結婚式に出ないことも考えていると言われた」「警察と住民の関係にどれほど亀裂が入ってしまったかを実感している」とメイさんはAFPに語った。

 香港警察はかつて、アジアの警察の模範ともてはやされたこともある。だが、今では過剰に暴力を行使しているとして、香港の民主派デモ参加者たちの強烈な憎悪の対象となっている。

 デモが始まって以来、警察は無数の催涙弾やゴム弾を放ち、催涙スプレーをまいてきた。ソーシャルメディアでデモの参加者を警棒で殴る警官の映像が拡散し、さらに怒りが広がっている。

 警官は時に実弾も使用しており、これまでにデモ隊との衝突で3人が撃たれた。3人は死んではいないが、2人は重傷を負っている。デモ隊は警察が振るったと疑われる暴力について独立した調査を求めており、それはデモが掲げる「五つの要求」の一つにもなっている。

 一方、警察側は、火炎瓶やれんがを投げるデモ隊の暴力に対し、警官は自制をもって対応していると主張している。