【12月5日 AFP】米政府は4日、23年ぶりにアフリカのスーダンへ大使を派遣する方針を発表した。前大統領の失脚後、8月に発足した暫定政権を率いる文民のアブダラ・ハムドク(Abdalla Hamdok)新首相の改革路線を、「前政権の政策と慣行を破る」ものだと歓迎している。

 マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官は、上院での承認を経てスーダン首都ハルツームへ派遣する大使を任命し、スーダン側も米首都ワシントンに全権代表を派遣すると説明した。

 スーダン首脳として1985年以来の訪米を果たしたハムドク氏はこの日、米首都ワシントンでデービッド・ヘール(David Hale)国務次官と会談した。ハムドク氏は英国で教育を受けた元外交官で、国連(UN)に勤務した経歴を持つ。

 米スーダン関係は、1989年にオマル・ハッサン・アハメド・バシル(Omar Hassan Ahmed al-Bashir)前大統領が権力を握った後、緊張化。バシル氏はイスラム主義を擁護し、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)のウサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)容疑者を歓迎するなどイスラム過激派と関係を結んでいたほか、国内政策の残酷さをめぐって欧米諸国から距離を置かれていた。

 1998年にケニアとタンザニアの米大使館が爆破されると、米国はスーダンの薬品工場で神経ガスが製造されていたとしてミサイル攻撃で破壊。この疑惑をめぐってはその後、激しい議論が起こった。米国は現在もスーダンをテロ支援国に指定している。

 両国は、スーダン西部ダルフール(Darfur)の紛争をめぐっても対立。米国はバシル氏による弾圧を「ジェノサイド(大量虐殺)」と非難し、同氏の訴追を要求した。国連によると、ダルフール紛争では約30万人が死亡し、スーダン軍は反政府勢力を支援しているとみなした部族を標的に殺害、レイプ、略奪、焼き討ちなどを行っていたとされる。

 ハムドク氏は先月ダルフールを訪れ、紛争被害者らに面会。和平へ向けた協力を約束していた。(c)AFP/Shaun TANDON