【12月4日 AFP】イタリア・トリノ(Turin)で5日に開幕するフィギュアスケートのGPファイナルでは、男子シングルの羽生結弦(Yuzuru Hanyu)が男女通じて史上最多5回目の大会制覇を目指す一方、女子シングルでは前回女王の紀平梨花(Rika Kihira)がロシア勢4人の包囲網の中で大会連覇に挑戦する。

 世界の上位6人だけが出場できるGPファイナルに、3大会ぶりの出場を果たす羽生は、ライバルであるネイサン・チェン(Nathan Chen、米国)に勝利し、2020年3月に行われる世界フィギュアスケート選手権(ISU World Figure Skating Championships 2020)での王座奪還へ向けた足場を固めることを狙っている。

 今週25歳になる羽生は、2013年から2016年にかけてGPファイナルを4連覇しており、今大会で優勝すれば、エフゲニー・プルシェンコ(Evgeni Plushenko)氏、イリーナ・スルツカヤ(Irina Slutskaya)氏というロシアの大選手2人を抜いて優勝回数で単独トップに立つ。今季のGPシリーズはスケート・カナダ(Skate Canada International 2019)とNHK杯(NHK Trophy 2019)で連勝し、得点はそれぞれ今季世界1位と2位と好調を維持している。

 20歳のチェンも、GPシリーズはスケート・アメリカ(Skate America 2019)、フランス杯(Internationaux de France 2019)でともに勝利し、こちらは大会3連覇を狙う。羽生が2大会連続の金メダルに輝いた2018年の平昌冬季五輪では5位に終わったチェンだが、その後は連勝街道を走っており、昨年の世界選手権では羽生を破って2年連続の世界王者に輝いた。

 他には、世界選手権で3位に2回入っている中国杯(SHISEIDO Cup of China 2019)王者の金博洋(Boyang Jin、ジン・ボーヤン、中国)が表彰台入りの有力候補。これにアレクサンドル・サマリン(Alexander Samarin)とドミトリー・アリエフ(Dmitri Aliev)のロシア勢、フランスのケビン・エイモズ(Kevin Aymoz)を加えた6人が出場する。

 しかし羽生の中でライバルは決まっており、「ネイサンと僕の争いになると思う」と話している。

 女子シングルでは、紀平と米国のブラディー・テネル(Bradie Tennell)がロシア勢の争いに割って入ることを狙う。

 ロシアからは、前回大会で紀平に敗れた五輪金メダリストで世界女王のアリーナ・ザギトワ(Alina Zagitova)がタイトル奪還を目指すが、今季シニアデビューを果たしたアリョーナ・コストルナヤ(Alena Kostornaia)、アレクサンドラ・トゥルソワ(Alexandra Trusova)、アンナ・シェルバコワ(Anna Shcherbakova)も脅威で、今季はこの3人でGPシリーズのタイトルを2勝ずつ分け合っている。

 昨季は快進撃を見せた紀平は、今季は出場したスケート・カナダとNHK杯でともに2位。ザギトワもフランス杯2位、NHK杯3位で勝利がなかった。

 一方、15歳ながらロシア国内女王のシェルバコワは、スケート・アメリカと中国杯を優勝し、フリースケーティング(FS)では難易度の高い4回転ジャンプを2本跳んだ。「4回転女王」と称されるトゥルソワは4回転を4本組み込んだプログラムを構成し、スケート・カナダとロシア杯(Rostelecom Cup 2019)を制している。16歳のコストルナヤもフランス杯とNHK杯で勝利した。

 テネルはGPシリーズの獲得ポイントで同胞のマライア・ベル(Mariah Bell)ら4人と同点ながら、タイブレークでファイナル進出を決めており、まずは表彰台入りが目標となる。(c)AFP/Emmeline MOORE