【12月3日 時事通信社】12日の英総選挙を間近に控え、スコットランドで独立機運が再燃している。2014年の独立の是非を問う住民投票で、反対が多数を占めてから約5年。欧州連合(EU)離脱に対する不満が強まる中、独立を掲げる地域政党・スコットランド民族党(SNP)が勢いを増している。

 「スコットランドの未来を誰が決めるのか。われわれ自身か、それともボリス・ジョンソン(英首相)か」。スコットランドの守護聖人の記念日「聖アンドルーズ・デー」の11月30日、ゴルフの聖地としても知られる都市セントアンドルーズでスタージョンSNP党首がこう訴えると、詰め掛けた約100人の聴衆は沸き立った。

 会場内にはスコットランドの旗がはためき、演説終了後には伝統楽器バグパイプを演奏する人の姿も。聴衆の一人で不動産業のマイク・リードさん(65)は「独立の機会をつかむための選挙だ。ロンドンの英議会はわれわれのために行動しないどころか、耳さえ傾けてくれない」と嘆いた。

 さらに北部の都市フォーファーでも同29日、SNP候補者の街頭演説に約40人が聞き入った。元教師のブライアン・ミルニーさん(84)は「スコットランド人の多くはEU残留に票を投じた。選挙の争点は英国のEU離脱ではなく、われわれの独立だ」と力を込めた。

 14年の住民投票では、独立賛成の約45%に対し反対が約55%だった。しかし、16年の英国民投票でEU離脱が決まると、EU残留支持票が約62%に上ったスコットランドでは不満が強まり、独立論も再び活気づいている。

 SNPは2度目の独立投票実施を公約に掲げ、EU残留も主張している。調査会社ユーガブの選挙情勢調査では、スコットランドの下院の選挙区59議席のうち、SNPが43議席(改選前は35議席)を独占する勢いだ。

 別の世論調査では、スコットランドでこれまで劣勢だった独立賛成派が支持を広げており、最新の結果では賛成、反対いずれも50%と肩を並べた。

 ジョンソン首相(保守党党首)は住民投票実施を認めない考えだが、最大野党・労働党は21年のスコットランド議会選で独立派が多数となれば意思を尊重すると表明。英政界には危機感も強く、ブラウン元首相は、1707年にイングランドとスコットランドが統合して発足させた連合王国が「過去300年間で最大の危機にある」と警鐘を鳴らしている。(c)時事通信社