【12月4日 AFP】(更新)米下院で行われているドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領に対する弾劾調査の報告書が3日、公表され、トランプ氏を不正行為と議会妨害を理由に弾劾するための証拠は「圧倒的」だと結論付けられた。

 報告書は300ページにわたり、トランプ氏に対する弾劾訴追の根拠を示す狙いがある。下院司法委員会(House Judiciary Committee)は同報告書を基に、正式な訴因を記した「弾劾条項」を起草する。

 報告書は「弾劾調査により、トランプ大統領が直接、さらには米政府内外の代理人らを通じ、自身の再選に有利となるように、外国政府であるウクライナに干渉を求めたことが明らかになった」と指摘。「大統領は自身の個人的・政治的利益を米国の利益よりも優先し、米大統領選挙の健全性を傷つけようと試み、米国の国家安全保障を脅かした」と記している。

 報告書は、トランプ氏が主に2つの不正行為に及んだと指摘。1つ目は、ウクライナ政府に対し、軍事支援やウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領との首脳会談実施の見返りとして、2020年米大統領選の民主党候補として有力視されているジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領らに対する政治的動機に基づいた調査を要求したというもの。

 2つ目は、トランプ氏が議会の調査妨害のため、文書の提出を拒否したり、関係者による証言を阻止したり、証言を行った人々を脅迫したりしたというもの。報告書は「大統領の不正および議会妨害の証拠は圧倒的だ」と記した。

 トランプ氏は北大西洋条約機構(NATO)首脳会議のため訪問中の英ロンドンで、政治ゲームをしていると再び民主党を非難。「弾劾はでっち上げだ。でっち上げだとわかった。単に政治的利益のために行われた」と批判した。(c)AFP