【12月3日 AFP】ネパール辺境部の村で3日未明、世界最大のいけにえ祭りとして知られるヒンズー教の祭りが始まった。5年に1度開催されるこの祭りで、いけにえをやめようとする動きもあるが、信者たちは今回も多数の動物をいけにえにささげ始めた。

 インドとの国境に近い村バリヤプール(Bariyapur)では、厳重な警備態勢が敷かれる中、ヤギやネズミ、ニワトリ、豚、ハトなどのいけにえをささげる「ガディマイ祭り(Gadhimai Festival)」が幕を開け、地元のとあるシャーマン(霊媒師)が、自らの体の5か所から採取した血をささげた。

 サッカー場よりも広く、壁で囲まれた会場に水牛数千頭が集められ、鋭利な刀などを手にした殺処理係約200人が入場すると、興奮した信者たちは中の様子をひと目見ようと木に登った。

 祭りの主催組織の一人はAFPに対し、「いけにえは今日始まった。私たちはこれを支持しないようにしていたが、人々はこの習わしに信仰を抱いており、ささげ物と一緒にここへやって来た」と話した。

 力を象徴するヒンズー教の女神ガディマイをたたえる祭りを控えた数日間は、ネパール国内と隣国インドから集まった大勢の信者が、野外で寝泊まりをしながら祈りをささげた。

 2014年に開催された前回の祭りでは、2日間でヤギやネズミなど推定20万もの動物が殺された。

 だが2015年に寺院側が禁止令を出し、1年後にはネパールの最高裁判所も政府に対していけにえをやめさせるよう命じたことから、数世紀にわたって続いた習わしが終わりを迎えるとの期待が高まった。

 一方で動物愛護活動家らは、政府当局も寺院側もこうした規則を履行できていなかったと指摘。インドの国境警備当局やボランティアはここ数日、許可を持たない業者や信者が国境を越えて運び出そうとしていた多数の動物を押収したものの、大量の移送を阻止することはできなかった。(c)AFP