【12月8日 CNS】中国の大手配車アプリ「滴滴出行(Didi Chuxing)」は11月29日、1台のタクシーに複数の客を乗せる「相乗り」事業を初めて以来、利用回数は延べ29億回に上り、この1年間の累計運転距離は45億キロに達したと発表した。

 相乗りは、中国で近年広がる「シェアリング経済」の潮流に伴い、新しく生まれた移動方法だ。目的地が近い客が相乗りすることで乗客は運賃が安くなり、実車率が高まることなどで運転手は収入が増えるというウィンウィンの効果をもたらしている上、都市部の渋滞解消にもつながっている。

 中国では以前から、知り合いを誘って相乗りすることは珍しくなかった。インターネットが発達すると、目的地が近いタクシーの利用希望者をネットで募り、料金を分担する人もいた。ただ、相乗り相手を探すのは一苦労な上、タクシー運転手からすれば料金は増えないため、モチベーションの向上につながらなかった。

 そして今は、技術の進展により大規模な相乗りサービスが可能となった。滴滴は専用アプリを通じ、目的方向が重なる乗客をマッチングし、効率的な相乗りサービスを実現。乗客の移動コストを削減すると同時に、限られたタクシーを有効利用している。データによると、北京の滴滴ユーザーの約3割が、通勤ピーク時に相乗りサービスを選んでいるという。

 一方で、遠方の客が先に降りて近場の客が後に降りる「遠回り」のケースが起きたり、そもそものマッチングが不正確だったりする問題も指摘されており、システムの計算能力の向上が鍵となっている。

 滴滴によれば、1回のマッチングには平均18万6000通りの計算が必要という。1日あたり400億以上のルートの組み合わせから配車システムをつくり、データ処理能力は4875TB超に達する。

 滴滴の張博(Zhang Bo)CTOは「計算方式を絶えず改善しており、遠回りによるロスの時間は去年より3割減少した」と話している。(c)CNS/JCM/AFPBB News