■氷河を上昇させる

 ストア氷河は年間600メートルの速度で前進する。湖の急激な排水により、氷河の前進速度が1日に2メートルから5メートルへと一時的に増加したことを、研究チームは発見した。氷床下部に落ちた水が潤滑油のような役割を果たしたのだ。

 さらに驚くべきことに、この氷床下部の水が氷河の高さを55センチ上昇させたと、研究チームは指摘した。

「厚さ1キロの氷が50センチ持ち上がったのだから、かなりの圧力が関与したと想像できる」と、チャドリー氏は話した。

 チャドリー氏は「グリーンランドでは気候変動の進行が確認されている」と述べ、「これまでに特定されていない新たな場所で、排水が進んでいる湖の総数が人為的に増加している可能性がある」と警鐘を鳴らした。(c)AFP/Ivan Couronne