【12月3日 AFP】地中海の島国マルタのジョゼフ・ムスカット(Joseph Muscat)首相(45)は1日、来年1月に後任が決まり次第、辞任する意向を表明した。ムスカット首相は、2017年に著名ジャーナリストのダフネ・カルアナガリチア(Daphne Caruana Galizia)氏が自動車爆弾で殺害された事件への対応を批判されていた。一方、カルアナガリチア氏の家族は2日、首相に対する捜査を実施するよう警察に要請した。

 ムスカット首相については、事件に関与したとされる著名政治家らを保護し、司法を妨害した疑いが浮上しており、今後1か月半にわたり首相の座にとどまるとの決定は即時辞任を求める人々の怒りを買った。

 カルアナガリチア氏の息子ポール(Paul Caruana Galizia)さんはツイッター(Twitter)への投稿で、一家が警察に対し、ムスカット首相による捜査関与を防ぐよう要請するとともに、「ムスカット氏を捜査対象とし、あらゆる証拠を明らかにし、保全する」ことも求めたと説明した。一家は裁判所に対し捜査要請の申し立てを行ったが、警察筋によると、一家の要請に対する回答は当面出ない見通し。

 事件をめぐっては先週、ムスカット首相の側近であるキース・シェンブリ(Keith Schembri)首席補佐官とコンラッド・ミッツィ(Konrad Mizzi)観光相が辞任した。同国の政済界の癒着を暴露したことで名をはせたカルアナガリチア氏は、シェンブリ氏とミッツィ氏が汚職に関与したと主張していた。両氏はいずれも汚職疑惑を否定している。

 警察は先月、自身のヨットで出国しようとしていた実業家のヨルゲン・フェネック(Yorgen Fenech)容疑者を逮捕。同容疑者は1日、カルアナガリチア氏殺害を共謀した罪で訴追された。

 警察筋によれば、フェネック被告はシェンブリ氏が事件の「黒幕」だと供述したという。シェンブリ氏は先週身柄を拘束されたが、2日後に釈放されたことから、隠蔽(いんぺい)工作があったとの批判を呼んだ。

 欧州議会(European Parliament)の代表団は2日にマルタ入りし、同国の司法の独立性と汚職疑惑をめぐる調査を行う予定。(c)AFP/Matthew Xuereb, with Ella Ide in Rome