【12月4日 Xinhua News】中国長江デルタ地域(上海市、江蘇省、浙江省、安徽省)ではここ数年、「移転して再建する」という方法で、歴史的建築物の保護を試みる動きが増えている。

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 上海市文史研究館はこのほど「2019長江デルタ文化フォーラム」を開催し、歴史的建築物保護の専門家で同館職員の阮儀三(Ruan Yisan)氏が、「移転式」保護は建築物が置かれていた環境は保存できないものの、同地域の歴史的建築分野における文化交流と保存方法の革新において特有の役割を果たすと述べた。

 阮氏は華東地区におけるここ数年来の歴史的建築物保護について具体例を挙げながら説明した。それによると、一部の個人収集家が私財を投じて「緊急救助」した古民家は、大まかな統計によると1000棟を超えている。ある収集家は専門の修復チームと工房を設立し、現代の居住様式を取り入れながら建築物の内部を改造した。また一部の篤志家は、江西省(Jiangxi)や安徽省(Anhui)などの古民家を上海に移転することで数多くの歴史的建築物を救った。

 阮氏によると、蘇州市(Suzhou)と揚州市(Yangzhou)でここ数年、新しく造られた古典的風格のある庭園の数々は、現代的な居住施設に江南の伝統的な建築様式と風貌が結びつき、関連産業の発展を促進するだけでなく、古琴や漢服などの伝統文化の復興ももたらした。

 阮氏は古建築への愛着とそれを保存しようとする民間の力は軽視できないと指摘。「揚州と蘇州で新たな古典的風格のある庭園が生まれたことで、優れた伝統文化が受け継がれ、また伝統的庭園の美も復興した」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News