【12月7日 東方新報】12月1日の第32回世界エイズデー(World AIDS Day)を前に、中国では青少年エイズ撲滅を掲げる第5回「青春ゼロエイズ」キャンペーンが11月25日に北京でスタートした。中国では今、性に奔放な学生によるキャンパス内感染拡大が問題視されている。このため青年、学生を対象としたエイズ予防教育の強化や啓蒙活動に力が入れられている。

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 キャンペーンは、教育部と国家衛生健康委員会が共同で推進する「新時代の学校エイズ予防教育工作」の一環。専門家の協力を得て、エイズ予防教育、技術指導やコンサルティングサービスを学校で展開する。

 これに合わせて、上海市疾病コントロールセンターのエイズ予防科主任の荘鳴華(Zhuang Minghua)氏ら著名エイズ予防専門家で構成された講師団が、復旦大学(Fudan University)などの4都市8大学で巡回講座を開催した。

 中国の疾病コントロールセンターが7月に発表したデータによると、15~24歳のエイズ病例が毎年3000人前後報告されている。病例報告の増加率は比較的安定しているが、問題は、青少年、学生自身が危機感をあまり持っておらず、エイズウイルス(HIV)検査率が低いため、実際の感染者数が把握しきれていないことだろう。

 2015年のデータによれば、調査を受けた5万2000人の学生のうち、HIV検査経験がある人はわずか4.1%。北京では簡単にオンライン検査ができるプラットフォームをテストケースとして導入し、検査率向上に努力している。このシステムは26都市153観測点で実施中だ。

 中国では90年代、農村に、不衛生な売血によるHIV感染の拡大が問題となった。だが売血が厳しく禁じられるようになった昨今は、特に北京など都会の大学で若者の性交渉を通じて広がるキャンパス・エイズが深刻化。中国の国家エイズ・性病予防センターの調査によると、2011年から15年まで、HIVに感染する大学生の人数が毎年平均で35%増のペースで拡大した。2015年の全国の大学生のHIV感染者は3236人。2016年には、1日当たり10人の大学生がHIVに感染していると指摘された。

 エイズ感染の若年化は、知識がなかったり、検査を嫌がってしなかったりすることが感染拡大防止の障害となっている。抗ウイルス製剤などの開発に力を入れる米国のバイオ企業ギリアド・サイエンシズ(Gilead Sciences)の羅永慶(Luo Yongqing)副総裁(中国区総経理)は、中国青年報で「HIVは予防も可能で、感染後も悪化を防げる。すでにコントロール可能な慢性疾患であり、積極的治療によって常人と同じように生活できる」と述べており、エイズを恐れたりせず、正しい知識をもって向き合い、克服していくことの重要性を訴えている。(c)東方新報/AFPBB News