【12月5日 東方新報】中国の民間シンクタンク「58同城招聘研究院」が11月25日に発表した「2019年中国卓越雇用主」リポートによると、2019年の大学生の理想の就職先は、平均月給額は7409元(約11万5600円)で、住宅手当などが充実しているフェアな新興都市のIT/インターネット企業であることがわかった。中国では、初夏に卒業を迎え、秋が新卒生の社会人スタート時期となる。

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 調査は今年5月から11月までの間に、651大学の20万人あまりの大学生と2500社以上の企業に対して実施。調査目的は、社会への影響、業務収益や企業文化、職業発展の4つのポイントから見た16の指標で中国人大学生にとって、最も理想的な就職先を浮き彫りにしようというもの。

 大学生が最も関心を寄せるのは月給。だが、希望平均給与7409元というのは、企業が新卒生に支払う月給平均7094元(約11万円)とそう差はなく、特に高望みしているわけではない。都市による差は、いわゆる北京や上海などの一級都市の学生の希望月給平均は8151元(約12万7000円)、地方都市の三級以下の都市では5696元(約8万9000円)に下がった。

 また、大学生が望む企業の福利厚生は、住宅手当と医療保険手当だった。87.42%の大学生が住宅手当を望み、77.34%が医療保険手当を望んでいた。このほか、体験福利やオフィス環境設備などへの希望が多かった。

 一級都市での就職希望が多く、理想の就職先は北京、上海、広州市(Guangzhou)、深セン市(Shenzhen)の企業に集中し、業種別ではIT・ネット、金融、教育・研修に人気が集中した。24.28%の学生がIT、ネット業界について、より多くの金が集まり比較的発展の伸びしろが大きいとの認識を示した。

 ただ、傾向としては、就職希望都市は北京や上海、深センなどの人気が若干下がり、むしろ成都市(Chengdu)、南京市(Nanjing)、長沙市(Changsha)など「新一級都市」(新興都市)への就職希望が伸びている。これは「新一級都市」がより熱心に大卒人材の募集に努力していること、大学生側にも今後伸びていく大都市に注目していることが背景にありそうだ。

 さらに、大学生が理想とする雇用主の評価の基準を企業文化、職業発展、業務収益、社会的影響の4つで見ると、企業文化が一番重視されることも判明。理想は、公正公平であることが一番で、次に給与と自己実現だった。従業員に対して差別なく、フェアに対応する企業が人気のようだ。

 企業が大学で人材募集をする場合、選択基準の重要要素は、専門性、大学院卒業かといった学歴、実習経験などだった。昨年と比較すると、専門性への要求が13.15%あまり下がり、学歴や実習経験への要求がそれぞれ1.35%、3.24%上昇した。企業側は大学生のチームプレー能力を非常に重視しており、83.26%の企業が「チームでの作業協力の能力を重視する」とし、次にコミュニケーション能力、イノベーション能力を重視するという。(c)東方新報/AFPBB News