【12月2日 AFP】米国は11月に地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」からの離脱を正式通告したが、スペイン・マドリードで2日に開幕する国連(UN)の気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)には代表団を派遣する。

 米政府の立場およびドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が主導するパリ協定離脱についての理解を深めるため、AFPはパリ協定が採択された2015年の第21回気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で交渉に参加したトッド・スターン(Todd Stern)氏に話を聞いた。

 スターン氏は、バラク・オバマ(Barack Obama)政権下で2009~16年に気候変動担当特使を務めた。現在は、首都ワシントンにあるシンクタンク「ブルッキングス研究所(Brookings Institution)」の上級研究員だ。

Q:なぜ米国はCOP25に代表団を派遣するのか?

A:米国は技術的なレベルで、実際に有益な方法で、交渉に参加し続ける。

 これまで長年、交渉に関わって来た人々がいる。彼らは世界中の交渉担当者と関係を築いており、知識もあり、信頼できる。

Q:気候に関する国際協議において、長年一貫して変わらない米国の立場というものはあるか?

A:米国は、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)氏であれ、オバマ氏であれ、今のトランプ政権であれ、京都議定書(Kyoto Agreement、1997年採択)によって具現化された旧態依然としたファイアウオールによる、硬直的な二分化の類いを支持したことがないのは明白だ。

 われわれは、先進国には法的拘束力のある義務を課し、発展途上国には義務はないといったようなものを当てにすることに合意するつもりはない。それが京都(議定書)だ。(中略)トランプ政権下においても、交渉担当者が交渉の場に姿を現すことはできるし、このような米国の立場を推進し続けるのは自由である。

Q:トランプ氏が2020年の大統領選で再選されたら、パリ協定は存続できるか?

A:自分たちができるはずのことをやろうとしない国が出てくること、米国は何もしていないのにどうしてわれわれが最大限の努力をしなければならないのかと感じる国が出てくることは、不可避なダメージだ。

(中略)トランプ氏が再選されてもこの状態は続くだろう。そしてある程度、このような苦悩は国際的に増加の一途をたどると思われる。

Q:米国はオバマ氏が定めた排出削減目標を、(連邦レベルではなく)州・都市レベルでの行動によって達成できるか?

A:国レベルで起こっていることを、地方レベルでの努力が埋め合わせることは絶対にできない。

 その一方で、地方レベルでは(中略)25州が断固とした姿勢で(排出量削減に)取り組んでいる。もし、これらの州に良いことをしようという進歩的な州知事が存在しなければ、全米の排出量は今よりも高いだろう。 (c)AFP/Ivan Couronne