【12月4日 Xinhua News】瀾滄江(Lancang River)の水源地区に位置する中国青海省(Qinghai)玉樹チベット族自治州(Yushu Tibetan Autonomous Prefecture)嚢謙県(Nangqian)で古代チベット仏教壁画が発見された。同県文化観光局が明らかにした。壁画は8世紀後半から12世紀後半にかけて北東インドを支配したパーラ朝の美術様式を色濃く残しており、13世紀前後のものと推定される。歴史学や人類学の研究できわめて高い価値を持つという。

 壁画は6月に同県香達鎮(Xiangda)多昌村(Duochang)で行われた工事で見つかった寺院遺跡で発見された。山を切り開いた場所から五つの石壁の遺構が見つかり、内壁部分の3カ所で壁画が確認された。

 遺跡を調査した故宮博物院チベット仏教文物研究所の羅文華(Luo Wenhua)所長は、壁画が13世紀頃のものであると暫定的に判断した。壁画の下方にはチベット文字の題辞があり、年代的に同省でこれまで見つかったチベット仏教壁画の中でも最古のものである可能性があるという。パーラ朝美術が中国に与えた影響やチベット仏教後伝期の初期(11世紀前後)に同地域が果たした歴史的役割を研究する上で貴重な資料となる。

 文化観光局の職員は、史料の記載が少ない中で今回壁画が見つかったことは、研究者が青海チベット高原の先住民の活動を理解する上で重要な役割を果たすと話している。(c)Xinhua News/AFPBB News