【12月1日 AFP】10月上旬から反政府デモが続いているイラクでは、アデル・アブドルマハディ(Adel Abdel Mahdi)首相が辞任する意向を表明した翌日の11月30日も首都バグダッドと南部で激しいデモが続いた。デモ隊は、統治機構が腐敗し外国の影響下にあるとして、幅広い改革を求めている。

 劣悪な公共サービス、失業、政府にまん延する汚職をきっかけに起きた一連のデモはここ数十年のイラクでは最大規模となっている。治安部隊と武装グループがデモ隊に対処しており、AFPが医療関係者とイラクの人権委員会の情報を基に集計したところによると、これまでに420人以上が死亡、約1万5000人が負傷した。

 バグダッド、シーア派の聖地ナジャフ(Najaf)、南部のナシリヤ(Nasiriyah)でデモの取り締まりにより数十人規模の死者が出たため、死者はこの1週間で急激に増えた。

 アブドルマハディ首相は11月29日、議会に辞表を提出する意向を表明した。議会は12月1日に開かれることになっている。

 しかしデモは収まらず、バグダッドやシーア派が多数を占める南部の群衆はあくまで体制変革を要求している。南部の都市ディワニヤ(Diwaniyah)で11月30日に行われた数千人規模のデモの参加者の一人は、「アブドルマハディの辞任は最初の一歩にすぎない。腐敗した連中は全員排除し、裁きを受けさせなければならない」と語った。(c)AFP