【11月30日 AFP】オーストラリアテニス協会(Tennis Australia)は30日、四大大会(グランドスラム)のシーズン初戦となる来年の全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2020)において、マーガレット・コート(Margaret Court)氏の年間グランドスラム達成50周年を祝うイベントを催すと発表した。その一方で、同性愛や同性婚を「軽蔑」する同氏の個人的見解については批判の姿勢を示した。

 2020年の全豪オープンは、コート氏がテニス界最大の偉業である年間グランドスラム達成から50周年の記念大会となる。しかし、現在はキリスト教の牧師である同氏は今月上旬、自身の偉業の節目となる来年1月の全豪オープンから正式な招待状が届いていないと訴えていた。

 コート氏は同性愛や同性婚に関する見解で物議を醸しており、ビリー・ジーン・キング(Billie Jean King)氏やマルチナ・ナブラチロワ(Martina Navratilova)氏ら元名選手からは、マーガレット・コート・アリーナ(Margaret Court Arena)から同氏の名前を取り除くべきだと批判が集まった。

 協会側はこの日コメント文を発表し、来年の全豪オープンにコート氏を招待して、大会期間を通してその歴史的偉業を祝うイベントを行うことを明らかにした。しかし、同氏の個人的見解に関しては、協会として支持しない姿勢を明確に示した。

「オーストラリアテニス協会は、マーガレット氏のテニスにおける比類なきキャリアをリスペクトしており、特に節目を迎える記念すべき年に同氏を歓迎する」

「これまでも言及している通り、当協会は、数年にわたってわれわれのコミュニティーにいる人々の多くを軽蔑し、傷つけているマーガレット氏個人の見解には賛成しない」「それらは平等性、多様性、包括に関するわれわれの価値観と協調するものではない」

 コート氏はこれまで毎年のように全豪オープンを訪れていたが、2017年に同性婚の促進活動をしていたカンタス(Qantas)航空を使用しないと発言して物議を呼んでからは姿を見せていない。現在オーストラリアでは、同性婚は国民投票後に合法化されている。

 その後もコート氏は、テニス界は「レズビアンだらけ」で、トランスジェンダーはナチス・ドイツ(Nazi)型の「陰謀」で、若者たちが洗脳された結果だと主張して冷笑された。

 今回もオーストラリアテニス協会から厳しい批判を浴びたにもかかわらず、2020年大会には出席する意向を示し、「家族や友人と一緒に、全豪オープンで年間グランドスラム達成50周年を祝うことを楽しみにしている」と語った。

 コート氏はグランドスラムで歴代1位の通算24勝を記録しており、同23勝のセレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)と同22勝のシュティフィ・グラフ(Steffi Graf)氏が後に続いている。(c)AFP