【11月30日 AFP】国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は28日、リビアの首都トリポリにあり、深刻な過密状態にある施設から移民たちを追い出すために「飢えさせて」いると主張した英紙の報道は「侮辱」だとして一蹴した一方、この施設は過密状態にあるために退去を促していることを認めた。

 UNHCRのフィリッポ・グランディ(Filippo Grandi)高等弁務官はギリシャの首都アテネで報道陣に対し、「私たちがリビアで難民や移民を飢えさせている? 同僚たちは日々、犯罪組織に拘束されることも多い人々に、命の危険を冒して接触しているというのに」と述べた。

 これに先立ち、英紙ガーディアン(Guardian)は28日、UNHCRが管轄下にあるトリポリの施設での給食を12月31日から「段階的に廃止する」との文書が出回っており、その文書を同紙も確認したと報道。

 取材に応じた援助関係者が、「退去するように仕向けるため、UNHCRは人々を飢えさせようとしている」、数百人は「何週間も食事がないようだ」と発言したと伝えている。

 UNHCRは同日、問題となっている施設での給食を年末から徐々に廃止していくことを認める一方、移民が通過する主要なルートがある都市部での援助を強化すると説明。その理由として、この施設が維持可能な状況にないことを挙げた。

 定員600人の同施設は、リビア国外へ移されることになっている難民や亡命希望者向けのトランジットセンターとして、1年前に開設されたが、今年7月に爆撃で破壊された移民収容施設から数百人が押し寄せた。また別の収容施設から約400人、都市部からさらに200人が到着し、収容能力の倍近い数の人々を収容しているという。

 UNHCRはこの過密状態により、「リビア国外、収容施設外で安全面における解決策が見つかった最も弱い立場にある難民を、他の場所に避難させる機能が妨げられている」と話した。

 UNHCRでリビアにおける支援活動の責任者を務めるジャンポール・カバリエーリ(Jean-Paul Cavalieri)氏は、リビア当局の収容施設から解放された亡命希望者や難民を喜んで受け入れると強調。ただ先の施設がトランジットセンターとしての本来の機能を取り戻し、彼らを安全な場所へ避難させることが可能になるよう願っていると述べた。(c)AFP