【11月30日 AFP】26日未明にマグニチュード(M)6.4の地震に見舞われたアルバニアで29日、住宅が倒壊し一家全員が犠牲になった2家族の葬儀が行われた。この地震でこれまでに49人の死亡が確認されており、当局は対応に追われている。

【写真】地震被害の様子

 多くの建物が倒壊したトゥマン(Thumane)の町で、ツァラ家の六つの木製のひつぎと、グレク家の三つのひつぎを前に親族らが涙を流した。前日に終了した必死の捜索活動で、倒壊した建物のがれきから20人以上の遺体が見つかったトゥマンはこの日、厳粛な静けさに包まれた。

 葬儀に参列したエディ・ラマ(Edi Rama)首相は、当地の風習に従い、ひざまずいてひつぎに土を投げ掛けた。

 トゥマンと並んで大きな被害を受けた港湾都市ドゥラス(Durres)では、アドリア海(Adriatic Sea)沿岸の倒壊したホテルが救出活動の焦点になっている。

 救助犬やカメラなどの装備を持ち込んだ外国の救助チームの支援を受けた救助隊が、これまでに45人前後を救出した。約750人が負傷して手当てを受け、うち3人が専門的な治療を受けるため29日に航空機でイタリアに向かった。3人の中には4階建ての自宅が倒壊し、親族8人を失って一家で唯一生き残ったラミ・ララ(Rame Lala)さん(17)もいた。

 ラマ首相は、すでに700万ドル(約7億7000万円)近くの寄付が集まっているとして、2020年までに被災者の住宅を新築すると表明した。

 ラマ首相によると、ドゥラスとトゥマンでは合わせてほぼ2000人が激しく損壊した自宅や、数百回に及んでいる余震で危険になった集合住宅からホテルなどの別の建物に移った。また首都ティラナでは一時3480人が避難所に入ったが、現在ではその多くが親族の家に身を寄せており、一部は受け入れセンターにいるという。

 ティラナで死傷者は出なかったが、ビル約70棟と住宅約250棟が損壊した。

 アルバニアは共産主義政権が崩壊した1990年代以降、無秩序な開発が進み、現地の建築家マクス・ベロ(Maks Velo)氏がAFPに語ったところによると、非常に多くの建物が「建築許可を取らず、規則を守らず、基準を満たさない建築資材を使って」建てられているという。(c)AFP