【12月4日 AFP】アフガニスタンの首都カブールにある学校で大きな爆発が2回起こり、窓ガラスが割れ、破片が雨のように降ってきた日のことを、マディナさん(16)は今でも夢に見る。

 マディナさんは腕と足に傷を負ったが生き延びた。体の傷は徐々に癒えつつあるが、攻撃を受けたことによるトラウマに今も悩まされている。

 マディナさんのようなアフガニスタンの若者の多くは、平和を知らない。学校が戦闘の最前線となることが多く、カウンセリングも不十分な国で暮らすことの心理的影響は計り知れないと、専門家らは警鐘を鳴らす。

「怖い一日だった。今も悪夢を見る。集中できず、試験の準備をするのがとても大変だった」とマディナさんは語る。学校にはがれきが散乱し、教室の大半は使用できないため、マディナさんは数学の試験を廊下で受けなければならなかった。

 最近まで、米国と旧支配勢力タリバン(Taliban)の間で和平交渉が行われるなどの動きもあったが、市民の生活は何も変わっていない。過酷な内戦で一番影響を受けるのは相変わらず子どもたちだということは、最近の攻撃でも浮き彫りになっている。

 国連(UN)の統計によると、アフガニスタンの昨年の内戦による死者は過去最多に上り、少なくとも3804人の一般市民が死亡したが、このうち927人が子どもだった。さらに今年上半期の一般市民の死者数の3分の1近くを子どもが占めていた。

 また、国連児童基金(UNICEF、ユニセフ)によると、2018年の学校に対する攻撃数は、前年比3倍にまで膨れ上がった。2018年末までに戦闘によって1000校以上が閉鎖され、約50万人の子どもが教育を受けられなくなった。

 カブールで活動するNGO「ノルウェー難民評議会(NRC)」の教育顧問で、心理療法士ベサン・マカボイ(Bethan McEvoy)氏は、学校への攻撃に起因する精神疾患や心的外傷に苦しむ患者の数を推定するのは難しいと語る。なぜなら、心的外傷の症状は衝撃が収まってから初めて現れることが多いが、アフガニスタンの人々は長年、精神的に消耗する出来事に次々と直面しているからだという。

「強いストレスを生じさせる出来事を経験すると、自然と体が切り替わり、生存のための反応をするようになる」「常におびえた状態だと、(中略)反応を正常な状態に戻すのが非常に難しくなってしまう」とマカボイ氏は指摘する。

 どのような長期的影響を受けるかは、その人の生い立ちや家族関係、支援ネットワークといった多くの要因により決まるという。

「学校で子どもたちにこの種の支援を行う環境が整っていれば、実際に大きな助けになるだろう」とマカボイ氏は言い、アフガニスタンで精神的支援を提供するためにやるべきことは多いと強調した。

 映像はアフガニスタン・ナンガルハル(Nangarhar)州の破壊された学校やユニセフのテント内で授業を受ける子どもたち、7月22日撮影。(c)AFP/Thomas Watkins, with Noorullah Shirzada in Jalalabad