■気候不安は「誰もが」抱える

 気候変動が心の健康に及ぼす影響を15年間研究している首都ワシントンの精神科医、リーセ・ファン・スステレン(Lise Van Susteren)氏によれば、潜在的な危険を認めようとしない態度は「自分も弱い人間だという事実を否定したい人々」によくみられる。「今や誰もが気候変動に対する何らかの不安を抱いていると、ためらいなく断言できる」とスステレン氏は言う。

 米国心理学会(APA)と気候変動対策推進団体「エコアメリカ(ecoAmerica)」は2017年の報告で、気候変動に対する心理的反応として「問題回避や運命論、恐怖、無力感、諦めなどが広がっている」と指摘した。同時に、ぜんそくやアレルギーなど身体的な影響も多数報告されているという。

 今年5月にワシントンのナショナル・モール(National Mall)で環境不安に対処するカウンセリングセッションを主催したデビー・チャン(Debbie Chang)さん(43)も、子どもを持たない決心をした一人だ。ごみゼロ運動を実践しており、使い捨てのプラスチック製フォークの代わりにマイ箸を、紙ナプキンの代わりにハンカチを、ハンドバッグに入れて持ち歩いている。外食時には食べ残しを持ち帰れるようステンレス製の容器を持っていく。

 少し前までは「気候不安や気候悲観、気候絶望、気候カウンセリング」といった情報を見つけるのは難しかったとチャンさん。だが、今は「より多くの人々が、それを問題だと気付き始めている」と語った。(c)AFP/Becca MILFELD