【11月29日 AFP】4年間にわたり国際スポーツ大会への出場が全面的に禁止される可能性があるロシアは28日、世界反ドーピング機関(WADA)の勧告は競技から同国のアスリートを締め出す政治的動機に基づいたものだと非難した。

 WADA内部のコンプライアンス審査委員会(CRC)は25日、モスクワの反ドーピング検査所から回収した検査データが改ざんされていたと認定し、今後4年間ロシアのすべての大会への出場を禁止するよう勧告した。

 来月9日に仏パリで開かれるWADAの常任理事会でこの勧告が採択された場合、ロシアは来年の東京五輪を含むすべてのスポーツイベントから除外されることになる。

 ロシア外務省のマリア・ザハロワ(Maria Zakharova)報道官はモスクワで報道陣に対し、他国がドーピング疑惑を追及する目的は、各国のアスリートがロシアの選手と戦わずに済むからだと非難した。

「ロシアを締め出すことを目的にこの件を政治問題化している。そういったことを表す言葉がある。不当競争だ。今回のことはルール無き戦いであり、すでに戦争状態と言えるのかもしれない」「ドーピングの問題でロシアは極端に集中攻撃されている。他の国の問題は全く議論されていない」

 勧告が採択された場合、スポーツを国威発揚として利用してきたウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領にとっても痛手となる。ロシア五輪委員会(ROC)は28日、同国のアスリートが東京五輪に参加するために全てを尽くすと話した。

 ROCのスタニスラフ・ポズドニャコフ(Stanislav Pozdnyakov)会長は国営ロシア通信(RIA)に対し、「チームがロシア国旗の下で東京に行けるようにするために全力を尽くす」とコメントした。

「大多数」のロシア人アスリートが五輪に参加することに関し「目に見える障害はない」と話した同会長は、「中立国としての参加に関する議論は行われていない」と明かした。(c)AFP/Michael MAINVILLE