ボルボの最新セーフティにまつわるセミナーを受けた。

1984年にセーフティ部門のマネージャーとなり、それ以降ずっと安全技術に関わり続けているヤン・イヴァーソンさんの声には、説得力があった。例えばボルボが生み出した3点式シートベルト。装着の法規制が始まった当時、どんな声が挙がったか。もはや今では考えられないことだけど「身体の自由を束縛するのか」「装着しない方がクルマから飛び出して安全」という意見すらあった。ボルボすべての車両に最高速度180km/hの制限を設け、2021年モデルより最高速度を鍵で制限するケア・キーを標準装備することに対する今日の反発は、もし未来から見たら、とんだ的外れになるのかもしれない。

さらに彼は、高齢者による事故対策のための実証実験を動画で公開。次世代モデルから標準化されるカメラによるドライバー・モニターや、75歳以上のドライバーに多く見られる交差点内の事故に対応するインターセクション・サポートのさらなる改良について触れた。インフラの整備が必要で、国や他の自動車メーカーと共に進めざるを得ない長い長い時間のかかることの前に、まず今、できることを着実に進めていく。何よりも安全。そんな強い意志がイヴァーソンさんの身体からにじみ出てくるような気がした。

すでに4度日本に来ているというボルボ・カーズのセーフティ・センターのナンバー2、ヤン・イヴァーソンさん。2022年からの欧州の規制として提案しているGPSを利用した小学校付近など地域限定の速度規制のさらに先にある、より細かな車両の速度制御や、EV化にともなうパッシブ・セーフティの進化についても訊いたのだが「それは次の機会に(笑)」とのこと。5回目の来日が楽しみである。

文=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=神村 聖