【11月28日 AFP】サッカースペイン代表の指揮官に復帰したルイス・エンリケ(Luis Enrique)監督は27日、前任のロベルト・モレノ(Robert Moreno)氏を「裏切り者」と評し、同氏が来年の欧州選手権(UEFA Euro 2020)に向けたコーチングスタッフから外れることを認めた。

 もともとスペイン代表を率いていたエンリケ監督は6月、骨肉腫を患っていた娘のシャナ(Xana)ちゃんを看病するために辞任し、アシスタントコーチを務めていたモレノ氏が指揮官に昇格した。その後シャナちゃんは8月に命を落としている。

 モレノ氏は欧州選手権予選を無敗で終え、チームを本大会に導いていたが、先週エンリケ監督の復帰に伴い指揮官を降りた。予選最終戦となったルーマニア戦には5-0で大勝したが、試合後の記者会見には姿を見せず、涙を流しながら選手控室を後にしたと報じられていた。

 エンリケ監督とモレノ氏は、スペイン1部リーグのFCバルセロナ(FC Barcelona)やセルタ(Celta de Vigo)、イタリア・セリエAのASローマ(AS Roma)でもタッグを組んだ盟友だった。

 しかし、この日就任会見に臨んだエンリケ監督は、「モレノ氏がスタッフから外れたのは私が決めたこと」とコメントし、「意見の相違があったのは9月12日。彼に接触したのはその日だけだ。彼から電話があって私の家で会ったが、彼は欧州選手権まで指揮官を続けたいようだった。そしてその後、私が望めば、彼はまたアシスタントコーチを務める気だったようだ」と明かした。

「彼が代表監督になれて高揚していたのは理解しているし、一生に一度の機会で、そのために懸命に働いていたのも分かる。だが、彼は裏切り者だとも思う。私だったら絶対にそんなことはしないし、そんな人は自分のスタッフにはいらない」

 モレノ氏は9月3日に行われた記者会見で、エンリケ監督が再びチームを率いたくなった場合は「自分から喜んで指揮官の座を譲るだろう」と話していた。

「責任を感じているし、ああいう終わり方は本意じゃない。誰かが苦しむ姿は見たくない」と続けたエンリケ監督は、2022年のW杯カタール大会(2022 World Cup)までの3年契約を結んだことも認めた。

 スペイン代表はW杯ロシア大会(2018 World Cup)の初戦に当たるポルトガル戦の2日前に、当時指揮官を務めていたフレン・ロペテギ(Julen Lopetegui)氏を解任し、激動の大会後の昨年7月にエンリケ監督を迎えていた。

「きょうは私と家族にとって特別な日。家に帰った感覚」「自分が始めたプロジェクトを終わらせるため代表チームに戻った」とエンリケ監督は話している。 (c)AFP/Thomas ALLNUTT